多くの種類のアトラクションが存在するディズニーシー。そのタイプは様々ですが、やはり中では絶叫系のアトラクションが人気です。
そんな中、知っていると少しだけ得するポイントやアトラクションを楽しむ上での攻略法などについてのシリーズ企画。個々のアトラクションを紹介する「アトラクションごとの傾向&攻略法紹介シリーズ」。
今回はディズニーシーを代表すると言ってもいい、アメリカンウォーターフロントにある人気アトラクション、「タワー・オブ・テラー」の細かな雑学などについてご紹介します。
パークには欠かせないディズニーシーの風景のひとつ。
このアトラクション名である「タワー・オブ・テラー」は米ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのディズニー・ハリウッド・スタジオなどの海外にも同名のアトラクションが存在します。
しかしながらその外観は大きく異なり、さらに演出や効果も大きく違います。そして何よりも大きく異なるのはそのストーリー。前回もご紹介しましたが、ディズニーシーの物語は日本だけの完全オリジナルです。
物語やアトラクションが建つアメリカンウォーターフロントに併せた外観になっており、ディズニーシーの代表的な風景のひとつでもあります。
パークのほとんどのエリアからその姿は確認する事ができ、夜になると不気味なライトアップがされるなど、絶叫アトラクションでありながら、「おばけ屋敷」的な要素もあると言えるかもしれませんね。
ちなみに建物の高さは59メートル。ディズニーランドのシンデレラ城とディズニーシーのプロメテウス火山が51メートルですので、両パークを通じて一番高い建造物ということになります。
この高59メートルという中途半端に感じる数字には、ちゃんとした理由があります。これは航空法第51条に基づき、「地表又は水面から60メートル以上の高さの物件の設置者は、国土交通省令で定めるところにより、当該物件に「航空障害灯」を設置しなければならない。」と言う規制があるためです。
この「航空障害灯」とは、高層ビル上部についている、よく見る「点滅する赤いランプ」の事です。このタワーの雰囲気を保つため、規制の高さギリギリに抑えている、という事なんです。
さらに建築基準法施工令により、高さ60mを超える物は「超高層建築物」という扱いになり、その構造計算などについても法的に非常に細かく、様々な規制がかかるため、この高さにしているという側面もあります。
しかしながら、実際にエレベーターに乗って落下する最高地点約38m付近から。これはスペースマウンテン上部の高さから落下するのとほぼ同じイメージとなります。最高地点で扉が開き、エレベーターが落下する瞬間が撮影のタイミングです。
建物の内外に刻まれた細かな物語…。
他のアトラクションと比べ、バックグラウンドストーリーがかなり細かく設定されているこのアトラクションですが、建物の内外に飾られた装飾にもこれらの物語が反映されています。
例えば建物入口正面、上にある紋章にご注目。近づきすぎると見えにくい場所ですが、ここにはハイタワーの紋章があります。
王冠や竜などが用いられたデザインをしており、両脇に刻まれた2つの「H」は、くハリソンハイタワーの「H」。そして、この紋章の下には「MUNDUS MEA OSTREA EST」という文字が刻まれています。
また、同様の言葉が建物入口の上部にあるステンドグラスにも刻まれています。これは「世界は私の牡蠣の様なもの。これを私の剣で開いてみせよう!」という意味。
文字通り、先程の建物入口上部の紋章には「貝」の上に「地球」があり、そこに「剣」が刺さっています。よく見ると、建物の内外にはこの牡蠣のモチーフがあちこちに存在します。
これは「世界は私の手の中にある。どんな困難でも、牡蠣の貝を剥くように、その剣でこじ開けてみせよう!」という、ハイタワーの野望・欲望を表しているもの…という事になるんです。
さらに颯爽と立つハイタワーの足元の杖が指しているのはニューヨーク。そして、その姿の半円状になっている部分を見ると、「WHY THEN THE WORLD‘S MINE OYSTER, WHICH Ⅰ WITH SWORD WILL OPEN.」と、書かれています、こちらは英語ですが、ここにも「OYSTER(牡蠣)」という言葉が登場しています。
また、なかなか普通には見えないところにもこだわりがあります。建物を正面から見ると、ゲストが落下する「割れた窓」のアーチ型の部分が4箇所あります。
このうちの右から●番目に刻まれているのは、なんとハイタワーの彫像。彼はここに自分の姿を刻み、ニューヨークを支配するような目で町を見下ろしています。
また、その隣に刻まれた彫像は髪の毛が蛇になっている、ギリシア神話に登場する「メデューサ」。その目を直視したものを石に変えてしまう、と言う話は有名です。
ハイタワーの性格から考えるとこのメデューサも自分以外の者に対する「威嚇」の意味を持っていると思われます。ただ、このメデューサは同じくギリシア神話に登場するペルセウスに首を切られて殺された…という話があり、悲劇の最後を迎えるところも同じ、という皮肉めいた部分もあります。
また、混雑時のウェイティングエリアとして使われる建物北側にある荒れた庭園がありますが、ここはホテルが閉鎖される前は園芸協会の賞を受賞するくらい、美しい庭であったという設定です。
強欲・傲慢で知られるハイタワーですが、この庭園で休息をしていたと思われる様な園内のプレートには書かれており、彼は意外にも植物を愛でる様な優しい部分があったのかもしれません。
なお、現在は舞台となるホテル内部のロビーを通過した後は写真撮影が禁止となっているため、内部の写真がご紹介できませんが、中にも細かなこだわりがたくさんあります。
今回ご紹介したタワー・オブ・テラーの物語やこだわりはほんの一握り。このアトラクションには想像を大きく超えるストーリーが存在します。
アトラクションのスリルを味わうのももちろんですが、こうした小さなこだわりを探してみるのも楽しみのひとつですね。