誰もが高性能なスマートフォンのカメラを持ち、難しい知識や技術が無くても気軽に画像や動画が撮れる現代。
東京ディズニーリゾートでもショーやパレードなどを撮影する際には非常にありがたいですよね。
しかしながら、気軽に撮影とSNSにシェアできる時代だからこそ発生する「無断転載」の問題。今回はこちらについて考えてみたいと思います。
この記事のもくじ
誰でも気軽に撮れる時代の「弊害」
誰もが専門的な知識も不要で、いつでもどこでも気軽に高画質の動画や画像が撮れる時代。
そして目の前で起きたことを脊髄反射的に、更にその善悪の判断をする事なく、すぐにインターネットで全世界に公開できる時代。
一昔前では考えられないくらい便利になった時代ですが、だからこそ「その弊害」とも言える問題も出てきています。
度々問題になっている、飲食店などでの不適切行為の動画などもそのひとつです。
更に、気軽に撮影できてアップできる時代であるがゆえに、「ネット上にあるものは自由に使っていい」と考える、「罪の意識の低下」も度々問題になっています。
著作権等に対する「意識の低下」
それは、文字通り「著作権等に対する意識の低下」の問題。
最近は特にネット上にある、他の人がアップロードした画像や動画を安易に使ってしまうケースが非常に多くなってきています。
特に多いのは「tiktok」や「Instagram」など。特に若いユーザーが多い為か、ネット上にあるものは誰でも自由に使っていいと考える方が増えてきている傾向があります。
更に憂慮すべきなのは、登録者数やフォロワー数が多い人でもそれを頻繁に行っているケースの多さ。特に情報系として活動されている方にそうした傾向が多く見られます。
特に「問題ない」と認識されてるようですが、パークの新商品などを紹介する際も、引用元の表記をしないで公式サイトのスクリーンショット画像を使用する行為は適切ではないので注意が必要です。
大きな影響力を持つ方がそうした違法行為を堂々と行っている場合も多いので、認識を改める必要を感じます。
「ネット上にあるから」「誰でもやっているから」は理由にならず、他人のものを勝手に使う行為は「著作権法に抵触する明らかな犯罪行為」と言う事をしっかり認識したいものですね。
そうした「悪意のない犯罪行為」が気軽にできてしまう仕組みも問題の原因のひとつになっていると言えるでしょう。
「承認欲求を満たす為」への目的の変化
これまで、パークのショーなどの動画や画像は「撮影して自分で楽しむというのが主」になっていることが多くありました。
しかし、近年はSNSの発展・発達により、いわゆる「他の人に認めてもらいたい」、「注目してもらいたい」と言う、「承認欲求目的の増加」が無断転載の背景にあるとも考えられます。
そのために、自分が撮影したかどうかは関係なく、「注目を浴びたいと言う意識」の方が高くなり、気軽に他の方が撮った映像等を使ってしまう事が増えてきています。
また、更に問題なのは「自分が作った、発信したものではないもの」なのに、その事実を隠して「まるで自分が行った行為のように発信すること」が増えてきたのも、大きな問題と言えるでしょう。
正式な手段を用いた「引用」ならば問題ではない
しかしながら、こうした他の人が撮った動画や画像などを使うのは、正式な手段を踏んでいれば問題ではありません。
それが、著作権法上で言うところの「引用」。
Twitterをやられている方は、「引用リツイート」と言う言葉でなんとなくそれは理解できると思いますが、「他の人が作った・撮ったものを活かしながら、自分の意見として発信する」と言う行為。
ちなみに「引用」については著作憲法上では以下の様に定義されています。
[1]公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。(略)
また、引用の定義として文化庁のホームページには以下の記載があります。
他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
法律が出てくると難しくなる…と言う場合もありますのでシンプルに説明しますと、「しっかりと引用先を明記」して、「自分の意見が主であり、引用したものが従であることを示す」と言うことです。
かなりシンプルな言い方ですが、「その人の苦労や労力を自分の手柄にする」と言う行為は避けたいものですね。
その他、著作物が自由に使える場合の詳細については、文化庁のホームページに「著作物が自由に使える場合」の記載がありますので参考にしてみてください。
「拾い画」は道に落ちているものではない
筆者自身も長くブログなどをやっているため、こうした画像や動画の無断転載と言うのは非常に多く経験しています。
中には転載された方に対していくつか指摘などをした事もありますが、そうした場合に帰ってくる返答としてよくあるのが、「ネットで見つけたから」、「拾い画だったので…」という言葉。
よく言われるこの「拾い画」ですが、言うまでもなく、これはネット上に落ちているものではなく、「著作権を持った誰かがアップロードしたもの」です。
そもそも、例えば街中に落ちているものでも、それを拾って自分のものにしてしまえば、「遺失物横領罪」(1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料)と言う罪になります。
量の大小や頻度に関わらず、インターネット上にあるものを正式な引用ではなく、その著作権者にたいして無断で使用する事は、「明確な犯罪行為になるという事」を改めて認識したいものです。
誰でもいつでも気軽に手元で最新情報を入手できる今の時代。こうした「無意識の犯罪行為」は誰にでも起きうる時代でもあります。
もちろん筆者自身も含め、しっかりと留意して行きたい所ですね。