【話題】 ディズニーキャストの「お客様」呼びはアリ?ナシ?ゲストのニーズを考えると見えてくる理由

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東京ディズニーリゾートと言えば、来園する人を「ゲスト」として迎え、それに対して従業員は「キャスト」として、パークの楽しさを「演出する演者」と言う立場で迎えてくれます。

そんな理由から、基本的には「お客様」という言い方をしないディズニーリゾート。しかし最近はその呼び方に変化があるとSNS上で話題になっています。

これはパークの方針の変化なのか、又は何か理由があるのか…などについて考えてみたいと思います。

「ゲスト」から「お客様」への変化?

これまでパークでは前述の通り、来園する人を「お客様として扱う」よりも、「ゲストとして迎え入れる」と言う形でした。

その為、ゲストに対しては「お客様」や「いらっしゃいませ」などは使われない事が多くありました。

また、ゲストに対しては一律の「お客様」ではなく、「お兄さん・お姉さん」、「お父様・お母様」といった表現を多く使っています。これは「お客様」だと一定の距離感が生まれてしまう事なども理由の一つだと思われます。

こうした表現はパーク外の一般的な商業施設等では見られず、ディズニーパークならでは…と言ったものでした。

しかし近年はこれらの表現に変化があり、「普通にお客様と言われた」と言った事がTwitterなどで伝えられています。

ジェンダーフリーへの対応も考慮か

近年では世界的な流れでもある、「ジェンダーフリー」の考え方。これは国や地域などによって、様々な解釈や考え方があり、一概には言い切れない部分もあります。

本来は「従来の固定的な性別による役割分担にとらわれず、男女が平等に、自らの能力を生かして自由に行動・生活できること」と定義されているものです。

ハーバーそんな中で、近年は「男性に見えて女性」であったり、「その逆の場合」などもあり、外見上からは測れない性別の個性について、社会的にも認知されています。

そうした中、男性又は女性を特定する「お兄さん・お姉さん」などの呼び方の変化はそういった人権などについて世界的にも敏感な対応を行うディズニーならではの対応…と言う印象も受けます。

パーク内の具体的な変化

なお、近年ではパーク内のショー前などに流れるアナウンスが以前は、「Ladies and Gentlemen, Boys and Girls…(直訳:淑女並びに紳士、お坊ちゃんやお嬢ちゃん…)」でしたが、「Hello Everyone…(こんにちは皆さん)」に変更になっています。

長年聞きなれた園内アナウンスが変更されたのは、性別への多様性を尊重したセクシャルマイノリティー(性的少数者)への配慮であると考えられます。

また、まだ正式発表が無いので確実では無いですが、アトラクション「カリブの海賊」の途中に登場する「女性の人身売買オークションのシーン」が変更されるのでは…とも言われています。

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こちらは海外パークでは既に変更されており、具体的な発表は無いですが、これもそうした配慮から東京も変更される可能性がかなり高くなっています。

こうした男女平等やセクシュアルマイノリティの観点からも、今後はゲストの呼び方や性別への対応も更に変わっていく可能性が高いと思われます。

様々な家庭環境等にも配慮?

また、性別に関してだけでなく、現代の様々な家庭環境などにも配慮されているのも理由の一つだと思います。

例えば、一般的に「30代女性と小学生の組み合わせ」であれば「ママとその子供」と言う解釈が一般的ですが、近年では様々な家庭環境もある事を考えると、「必ずしもそうでは無い」と言うケースも多くあります。

例えば、晩婚化の傾向がある現代では、比較的高齢になってからの出産で、「ママ(パパ)なのか、おばあちゃん(おじいちゃん)なのか」といった場合などで、「子供なのか孫なのか」の判断もつきにくいケースもあります。

また、年齢性別が非常に幅広いゲストが集まるディズニーリゾートでは、「親子ほどの年齢が離れた異性(又は同性)の友人」であったり、「同性カップル」など、その境遇や環境が様々な方が集まります。

そうした面から考えると、特定の関係を「キャスト個人が外見の印象だけで決めて呼ぶ」と言うのは非常に危険な部分であるとも言えます。

そうした傾向を考えると、年齢性別や境遇に関係ない、「お客様」と言う言い方が一番無難で確実…と言う考え方もわかる気がします。

柔軟な姿勢も「永遠に完成しない」

基本的には「お客様」と言う言葉をあまり使わないパークですが、現実的に「そういう言い方はちょっと寂しい」といった意見もあります。

確かにパークを楽しむ「ゲスト」と「キャスト」と言う関係が、「お客様」と言う関係になると、今までとやはりちょっと距離感が出てしまうような気もいたします。

しかし、「迅速に対応しなければならない場面」や、例えば「レジの空いている列等への誘導」や、「(具体的に)こちらへどうぞ!」と言う際、「お客様」と言うのは老若男女含めて、誘導のしやすい言葉でもあります。

これまでのパークのこだわりは非常にディズニーらしい素晴らしいものです。

しかしながら、これまでのそうした配慮やこだわりが、ゲストにとって逆に「違和感」があったり、「適切ではない場合」もあるかもしれません。

そうした部分から考えると、そうした「お客様」と言った言葉への変化も、時代の要請と考えて許容していく必要が今後はあるのかもしれませんね。

よく言われる「永遠に完成しないパーク」ですが、完成しないのはアトラクションやエンターテイメントだけでなく、そうした「時代に変化にも合わせ、柔軟に変わっていく姿勢」も含まれているのかもしれませんね。

ABOUTこの記事を書いた人

DヲタのWEBライター。TDRハックの他に、 個人ブログ「TDRな生活」や「株式会社ぴあ」の「ディズニー特集 -ウレぴあ総研」で多くのTDRにまつわる記事を執筆。7冊のディズニー関連書籍の著者でもある。近著に「ひとりディズニー50の楽しみ方」 (サンクチュアリ出版 )。…慌てず急がず、ゆっくりゆったりとパークを散策しながらお酒を楽しむのが好きです。

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