東京ディズニーランドのグランドオープンから存在する人気アトラクションの「ジャングルクルーズ」。2014年9月にリニューアルして、現在の「ジャングルクルーズ : ワイルドライフ・エクスペディション」となりました
そんなリニューアルから9年が経過。リニューアル前の当時を知る人も少なくなってきていると思いますが、実は今とはだいぶ違っていた内容でした。
今回はそんな過去の様子と現代に届けようとしているメッセージについて触れてみたいと思います。
この記事のもくじ
弱肉強食、「リアルなジャングル」の世界だった
2014年にリニューアルした同アトラクションですが、リニューアルと言うとドキドキワクワク、新しい効果やスリル期待してしまいますよね。
確かに新しくなった後は、夜にはホタルが光ったり、新たに船からライトで動物たちを照らしたり、プロジェクションマッピングが追加されたり…と言った、現代風の仕掛けが追加されています。
しかし、何より大きく変わったのは、「残虐な場面や争いのシーンが全てなくなった」ということ。
時代の変化に合わせた変更なのかもしれませんが、以前の前の方が「リアルで良かった」と言う声も聞かれたりします。
「ジャングル探検」ではなく「動植物保護」の世界に
まずそのスタンスがリニューアル前は「獰猛な動物がいる危険なジャングル探検」と言うスタンスでしたが、現在は「ジャングルと友達になろう!」と言ったポスターが貼られています。
他にも色々と変わったシーン。例えば出発して間もなく、左側には「河の中にいるワニと木の上にいる鳥」がやりとりしてるシーンがあります。
以前は「鳥を狙っているワニ」と言うスタンスでしたが、リニューアル後は「ワニに鳥が歌を教えている」といったアナウンスになっていたり、特に船長が触れない事が多くなりました。(全長のアドリブで若干変わります。)
また、ライオンがシマウマを襲っているシーンでは「どうやらライオンがマッサージをしてあげてくれてるみたいですね!」といった表現だったり、大きな蛇が子供の水牛を狙っている場面も無くなりました。
更には「ゴリラとワニが戦っているシーン」も、「水面に浮いているバナナを取り合っている」と言ったシーンになるなど、「かなり優しめの表現」に変化しています。
残虐な描写が全てカットに
また、冒険の途中で、「原住民にボードが襲われるシーン」がありますが、その近くの左側に船が浮いているのですが、その上には以前は「骸骨がたくさん積まれている様子」が見られました。
更にこの骸骨、よく見ると、「頭蓋骨の上にはオノのようなもので割られた跡」が入っていたり、なかなか細かいところまでリアルな状態になっていました。
また、近くの小屋で踊ってる原住民の小屋の軒先には、「骸骨の装飾がぶら下がっている」など、なかなか不気味な雰囲気になっていました。
更には小屋の上に描かれた模様もガイコツになっているなど、細かなこだわりも…。
しかしながら、こうしたリアルな頭蓋骨もリニューアル後は全て無くなり、船の上には何もなく、原住民の小屋の上の模様も変わってしまいました。
こうしたリアルで不気味な演出がリニューアル後は全てなくなり、残忍と思われる表現が全て無くなったのです。
「逃げる探検隊」は様々な人種に変更
そして「サイに襲われて、急いで逃げる探検隊」の場面も印象的ですが、こちらもリニューアルされた後は、「さまざまな肌の色をした人や人種が入り混じった形」となりました。
リニューアルされる前(上の写真右側)は、一番上の隊長の人物は白人ですが、それ以外は全て黒人でした。こちらに関しては様々な差別問題に配慮した理由だと思われます。
超マニアックな変更点、「獰猛な動物」から「神秘的な動物」へ
続いては、まずほとんどの方が気づいていないと思われる小さな小さな変更点。
アトラクション入り口にはご覧の通り、机が置かれています。ここにはリニューアル前は、ライフルや銃弾が掲げてあったり、まさに「危険なジャングル」と言う印象でした。
しかし、リニューアル後はそうしたものもなくなっているのが印象的です。
そして建物入り口を入ってすぐに目に入る、この机の上にあるタペストリー。見た目は同じに見えますが、下に「WILDLIFE EXPEDITION」の文字が加わりました。
しかし、ここに「非常に細かな変更点」があります。
旧作では船の絵の下に「Fierce beasts(獰猛な獣)」と書かれていたのですが、リニューアル後は「exotic beasts(エキゾチックな獣)」に変わっているのです。
こうした部分も動物は獰猛で危険なものというイメージを払拭しようとしている意識がわかります。誰も気が付かない、こんな細かなところまでしっかり変更しているのはディズニーらしいこだわりですね。
「時代の変化」に併せて変わるテーマ性
世界的な流れも含めて、近年の「DISNEY」周辺を取り巻く環境は、特に海外パークでその傾向が顕著になっています。
様々な人種問題、男女差別問題などに配慮し、原作のイメージから離れたイメージの実写映画が公開されたり、原作と異なるイメージのアクターを使う、更にはアトラクションの大幅なリニューアル…といったことが珍しくなくなってきています。
こうした部分に関しては、様々な意見があり、感じ方もそれぞれだと思いますが、元々あった歴史などを上書きしてしまうのでは?と言った意見もあり、パークの目指す姿がどこにあるのか…と言った議論がネット上ではよく見られます。
例えば、このジャングルクルーズでも、実際に「自然の厳しさや残虐性」も実際に行われてきているリアルな部分でもあるわけです。
そうした部分を隠すような形にしてしまうと、「そうした過去の歴史のもとに、現在の姿がある」と言う認識が薄くなってしまう可能性もあり、どうする事が正しい形なのか…と考えさせる部分もある様な気がします。
ただ、時代に変化に併せて様々な「変化」と「進化」をし続けるディズニーのテーマパーク。そうした分も含めて、今後に注目していきたいところですよね。