今から2年前、突然のダッフィーの壁画出現にはじまったキャンペーン「パラッツォ・カナルの噂」で登場したジェラトーニ。
当時はこの突然の壁画に多くのファンの反応は否定的でしたが、オリエンタルランドがジェラトーニを登場させたのは大きな理由があったようです。ジェラトーニに見るオリエンタルランドの戦略を考察します。
この記事のもくじ
当初は評判が良くなかったジェラトーニの壁画

2014年6月にディズニーシー、パラッツォ・カナルの壁に登場したジェラトーニ。日を追うごとに絵が描きあげられていくキャンペーンで、これまでにない大きなプロモーションが行われました。
この突然の壁画に、一部のファンは、ディズニーシーの持つバックグラウンドストーリーが損なわれるとして、よい反応を見せませんでした。
ダッフィーが道に落としたジェラートを絵の具代わりにして絵を描いたことがきっかけで、ジェラトーニはダッフィーの友達になったということもあり、絵が得意という設定のジェラトーニ。
当時はなぜ絵描き?という思いもありましたが、2年の年月が経ち、ジェラトーニで成し遂げたかったものが見えてきました。
ジェラトーニがディズニーシーにもたらした2つのもの
①ダッフィー&フレンズの拡充
ディズニーシーは「大人向けテーマパーク」。そういった風潮を変える原動力になったのがダッフィー、そしてシェリーメイの登場でした。幅広い層に受け入れられるテーマパークとして、シーを牽引したダッフィー&フレンズを拡充するという狙いで、ジェラトーニが誕生したとみられます。
説明するまでもなく、結果は大成功。2年前の登場時のことなどなかったかのように、多くのファンに受け入れられているジェラトーニの姿がここにあります。
ジェラトーニが大きな集客力に、グッズの売り上げにに大きく貢献していることは言うまでもないでしょう。
②絵画を使った新エンターテイメントによる来園価値の向上
ジェラトーニの絵画は、ディズニーシーに新たな価値をもたらしました。ジェラトーニの描いた壁画はまさにパラッツォ・カナルを小さな美術館に変えてしまいました。

さらに「ジェラトーニのアルテ・イン・ピアッツァ」ではトリックアートを導入。

こちらはミラーシリンダーに反射した絵を楽しむアート。海外でも人気のある表現技法です。

pic: boredpanda
トリックアート美術館は全国各地の観光地で人気があるエンターテイメント。いわゆる「だまし絵」ですね。

えっ…? これ木の扉も絵だよ…? pic.twitter.com/PzQ6D0pLF7
— めいかひよ子 (@h_meika) July 8, 2016
アトラクションやショーだけに頼らない来園価値の向上を狙ってTDSもトリックアートを導入したのではないでしょうか。
そしてそれを実現するのには、既存のダッフィー、シェリーメイでは物語として唐突。
バックグラウンドストーリーを大切にするテーマパークだからこそのジェラトーニ登場ということだったのでしょう。
そんなトリックアートの導入ですが、昔のオリエンタルランドの中期経営計画にこんな文言が。
顧客志向の更なる強化を進めてまいります。・・・(中略)・・・知的欲求や審美的欲求といった、ゲスト自身も認識していない潜在的な欲求に応える新たな体験価値を創造してまいります。
新中期経営計画 INNOVATE OLC 2010より
何年も前から、このような方向性は規定路線だったのでしょう。
これからの「新たな体験価値」が楽しみですね。
絵画とエンターテイメントは相性抜群!トリックアートの未来は
さて、ジェラトーニの絵を使ったトリックアートですが、プロジェクションマッピングと組み合わせると、こんなすごいことが可能に。
「変幻灯」と呼ばれている人間の錯覚を利用したトリックです。
これからの科学技術で私たちが想像しないようなエンターテイメントをジェラトーニの絵は魅せてくれるのではないでしょうか。
定期的に展示、壁画が変わるパラッツォ・カナルのこれからに注目です。