ほとんどが「実在しない創られた世界」でありながらも、リアルな体験が楽しめる東京ディズニーリゾート。中でも特にリアルな建物や美しい風景が多いのが東京ディズニーシー。
自然や建物、リアルな街並みや、良くできた造形などで私達を楽しませてくれます。
そんな中、人気アトラクションである「タワー・オブ・テラー」。言わずと知れた、パーク内でもかなり目立つ建物です。
今回はそんな同アトラクションの「外観に関するシンプルなトリビア」を紹介します。
この記事のもくじ
ディズニーシー開園5周年から登場
こちらのタワー・オブ•テラー(以下、TOT)は、ディズニーシーの開園当初からあるアトラクションではなく、グランドオープンから5年後の東京ディズニーシー5周年の年に華々しくオープンしました。
それまでのアトラクションにはなかった細かすぎる奥深いストーリーや、リアルな雰囲気、そして何より、東京ディズニーリゾートで初めてとなる垂直落下(フリーフォール)型のアトラクションとして現在も人気を保っています。
ただ、落下するタイプが苦手な方もいる為、中には一度も乗った事が無いと言う方も多くいるアトラクションでもあります。
今回はそんな「乗れない方でも、その外観で楽しめるポイント」を紹介します。
「細かすぎる物語」も魅力的
こちらのTOTについては、ものすごくシンプルなストーリーで解説すると、大富豪で探検家の主人公、ハリソンハイタワー三世がアフリカの秘境の部族から強奪してきた「呪い偶像」の力によって、エレベーターから落下し、行方不明になる…と言うストーリーです。
その後に再開したホテルのツアーにゲストも参加する…と言うものですが、建物外観だけで無く、内部も非常に凝ったアトラクションになっています。
実際はもっと非常に細かなストーリーや設定があり、パークの様々な場所とも関連していたり…といったマニアックな物語も多数存在します。
そんな非常にマニアックな方々でも楽しめるアトラクションですが、そちらはまたいずれご紹介するとして、今回は「そこまで深く知らなくてもシンプルに楽しめる外観についてのトリビア」について触れてみたいと思います。
東京ディズニーリゾートで1番高い59メートルの建物
このTOTの建物は、東京ディズニーリゾートに近づくとその大きさが非常によく目立ちます。パークの位置がわからない場合はTOTを目印にするくらいでもいいと思います。
下記の記事では、東京湾アクアラインの海ほたるから見えるパークの様子をご紹介していますが、そこでもこのTOTを目印に探すと分かりやすいと思います。
まず、東京ディズニーリゾートと言うと思い浮かべるのがシンデレラ城やプロメテウス火山がシンボルとして有名ですが、これらの高さはそれぞれ「51メートル」です。
しかし、このTOTは59メートルと「東京ディズニーリゾート内で1番高い建物」となります。
お城や火山よりも大きいのがちょっと面白いですよね。
高さ59メートルの「有名な理由」
こちらのTOTは、高さ59メートルと一見すると「非常に中途半端な高さ」になっている様にも感じます。
これには理由があり、高さが60メートルを超えると建築基準法で定める、「高層建築物」になるため、非常に複雑な構造計算などをしてビルを建てなければならないと言う制約があり、それを超えない高さとなっているのです。
また有名なトリビアですが、60メートルを超えると「航空障害灯」と言われる、いわゆる「ビルの上部に見られる赤いチカチカ」を設置する義務がある為、それを超えない高さとなっています。(航空法第51条)
上の写真はパークの背後に見える東京都内のビル群の様子。ほぼ全てのビルに「赤いチカチカ」があるのが見えます。
TOTの不気味な雰囲気の建物に、近代的で見慣れた赤いチカチカがついているとやはりイメージがだいぶ変わってしまうためだと思われます。
ちなみに補足すると、この航空障害灯はそれに替わる程度の視認ができるものがあれば、「赤いチカチカ」ではなくてもOKとされています。
その為、東京スカイツリーにはついておらず、そのかわりに目立つライトアップがされているのですね。
建物正面にはハイタワーの顔が!
ホテル建物の外観は行かれた事のある方なら見慣れた風景ですよね。しかし、意外とじっくり見ることは少ないもの。
そこで注目いただきたいのがこちら。ゲストが乗ったエレベーターが落下する「割れた窓」の様なアーチ型の部分は4箇所あります。
上の写真の赤い矢印の部分、向かって右から2番目のアーチの上にはよく見ると、ハリソンハイタワーの顔のレリーフが設置されています。
自己顕示欲が高く、自信家だった彼は建物に自らの顔を設置すると言う、現代ではとても考えられないような事しているのですね。
続いて下の写真の赤い矢印、こちらはハイタワーの顔の彫刻よりも、一回り小さくなっており、ハイタワーの顔同様、肉眼で確認するのはかなり困難です。
こちらも望遠でその姿を見てみると…。
こちらは多くの方がご存知の、髪の毛が蛇になっているギリシア神話に登場する「メデューサ」。
見るものを震え上がらせ、その目を直視したものを石に変えてしまった…とされる話は有名ですね。
このメデューサの目は、「邪眼」と言って悪意を持って相手を睨みつける事により、対象者に呪いを掛ける魔力を機能させるためのものです。
ハイタワーはこんな所にメデューサのレリーフを設置し、自分以外の者に対する「威嚇」の意味を持たせたのかもしれませんね。
しかしここで更に興味深い話があります。
メデューサはギリシャ神話に登場する「三姉妹の怪物ゴルゴン」の中の一人。その姿形は皆に恐れられていたのですが、実は姉妹の中では「唯一、不死ではなかった」ため、同じくギリシア神話に登場するペルセウスに首を切られて殺された…という話があります。
自らの欲望のためだけに略奪や強奪を繰り返し、その権力を振りかざしていたハイタワー三世。
このメデューサの様に、人々から恐れられてはいましたが、結果的に「悲劇の最後を迎えてしまった所は同じ」なのですね。こうした細か過ぎる設定もとても面白いですね。
よく見ると「描かれた破壊の跡」
続いてはこちら。このTOTを正面から見ると、シリキの呪いによって、上部のガラスなどが内側から破壊されたような様子が伺えます。
これは遠くから見ても視認ができるほど、リアルに破壊された跡のように見えます。
しかしながら、多くの方が気がついていない部分だと思われますが、こちらをよく見ると、「破壊された様に見える部分は、実は梁(はり)部分に描かれた絵」なのです。
説明するより写真を見ていただいた方が早いのですが、一見すると、資材が割れたり、破れたりしているように見えるのですが、望遠レンズなどでよく見ると、この「破壊の跡はほとんど描かれたもの」なのです。
肉眼だとなかなか確認できず、夜になると全く見えなくなる部分ですが、こうしたところも非常に細かなこだわりですよね。
実は裏から見るとシンプルな形
そんなこのこだわりのTOTですが、様々な世界の建築様式等が使われており、正面からみると、非常に凝った作りとなっています。
このTOTの総事業費は、約220億円と言われており、パークの中でもかなりの金額をかけて作られたものです。
それを感じる非常に立派で凝った作りですよね。
しかしながら、機会があればちょっと見て頂きたいのが、このTOTの「真後ろの姿」。
表側は非常に凝った作りなのに対し、パークの外側から見てみると、非常にシンプルな形をしているのがわかります。こうした落差を楽しむのもいいですよね。
ちなみに、こちらはパークの中からは見えませんので、シーに入る駐車場の近く、もしくはリゾートラインに乗って真後ろを通過するときに、短い時間ですがぜひ確認してみてくださいね。
…以上、お伝えしてきたTOTの外観のシンプルなトリビア。
パークで1番大きな建物のアトラクションは、乗らずとも楽しめる要素がたくさんあります。
あまり上を見上げることは少ないパークですが、ぜひそんな細かな部分にも注目してみてくださいね。