その美しい光景やこだわりだけでなく、ゲストをその世界に自然に誘導してくれる東京ディズニーリゾート。
そんな中、今回はその世界感に違和感なく、自然に浸らせてくれるテクニックをご紹介します。
それは「ゲストの視線を巧みに誘導する」というこだわり。一体どういうことなのでしょうか。
この記事のもくじ
視線を誘導されているってどういう事?
「視線を誘導されている」と言われてもなかなか感じにくいですよね。
それはゲストの視線を違和感なく誘導することで、「見せたいものを見せる」と同時に、「隠したいものをうまく隠す」ということです。
以前にお伝えした上記の記事、「【ディズニーランド】視線も誘導されている?ディズニーの「魔法のテクニック」、今回はディズニーシー編です。
今回は、更にアトラクション乗車中の撮影「ライドショット」にも使われているそのテクニックをご紹介します。
シンドバッドに登場する怪鳥は最初見えない
ディズニーシーのアラビアンコーストにある、「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」。
その名の通り、シンドバットの様々な冒険を描くこちらのアトラクションは、ボートに乗ってゆっくりゆったり進む船旅。癒しの時間でもありますよね。
そんな中、シンドバットの冒険の途中、盗賊に鳥の大きなタマゴを奪われそうになるシーンがあります。(上の写真)
この時、エリアの最後には、大きな怪鳥(怪鳥ルク)が上部にあり、盗賊が襲われる場面があります。
この場面では、まず、冒頭はこの部屋に入った時、左側にいる「大きなタマゴに乗って割ろうとする盗賊」に視線が向きます。
この時、実は「左側奥にはヤシの木のようなオブジェ」が置かれており、その怪鳥の姿は見えないようになっているのです。(2つ上の写真)
そしてゲストの視線は、右側にいる、「盗賊たちが奪おうとしている、まもなく生まれる小鳥たちの巨大なタマゴ」があり、ゲストの視線をそちらに向けておいてから、突如左側上空に怪鳥が現れると言う形になっているのです。
こうして、巧みにゲストの視線を操り、演出をより効果的に見せようとしてるのですね。
センター・オブ・ジ・アースの溶岩の怪物の反対側には…?
こうした「視線の誘導」は、いろいろな用途で使われています。例えば、ミステリアスアイランドの「センター・オブ・ジ・アース」。
こちらのコースターは大落下する直前に急加速をしますが、その直前、右側には「ラーバモンスター」と言う溶岩の怪物がいます。
もちろんアトラクションのストーリーとしては、この怪物に押し上げられる形になるのですが、この時、ライドの進行方向左側には「小さな窓」があり、ここには第一生命の「スポンサーラウンジ」があるのです。
これは「隠す」と言うより、「ラウンジからモンスターがよく見える様にしている意図」だとは思いますが、こんな所でも上手くゲストに視線を誘導しているのですね。
(ラウンジ内の写真・動画をSNSなどにアップするのは禁止されています。)
蒸気船から見える風景を「違和感なく見せる」
続いては、「ディズニーシー・トランジットスチーマーライン」。
こちらは、ポートディスカバリーの脇を通って、ロストリバーデルタに向かう時、左側に水門から水が出ている所があります。
ここは、特に何かがある様には見えませんが、察する所、「未来の港」から、急に「未開のジャングル」に船が入っていくわけですから、当然風景や景色も急に大きく変わります。
確かに、この時「右側」を見ていると「ニモ&フレンズ・シーライダー」の近代的な建物から、急にジャングルの奥地に入っていく…と言うような感じになります。これはさすがにちょっと違和感がああるとも言えます。
そのため、ここでも視線を一度、反対方向に向けて、「自然の脅威と言う雰囲気」を感じさせてから、「自然のジャングルに入っていく」…いう意味を持たせている様にも思えます。
実際はどうなのかはわかりませんが、そうした意図も感じながら体験してみると更なるこだわりに出会えるかもしれませんね。
ジョーンズ博士が「上」にいるのは意味がある?
続いては、視線の誘導とは若干意味が異なりますが、ロストリバーデルタにある「インディ・ジョーンズ®・アドベンチャー: クリスタルスカルの魔宮~」にも細かなこだわりがあります。
ここでは落下の瞬間に撮影をしてくれる「ライドショット」があります。
言うまでなく、ゲストが自由に購入できるこれらの写真。もちろんどうせなら、「できるだけ正面を向いた状態」で、みんながきれいに写りたいですよね。
その為には「全員が同じ方向を見ている必要」があります。その為、撮影がされる落下直前はジョーンズ博士が高い位置にいます。
これも「怖くて下を向いているゲスト」に対して、いったん上を向かせて、そのまま落下し、顔を撮影…という意図があるのかもしれませんね。
タワー・オブ・テラー
続いては、「タワー・オブ・テラー」のライドショットについて。
こちらも前述のインディ同様、できるだけ正面を向いた状態で、写真を撮りたいですよね。
そのため、一番最上階で窓が開き、外の景色がキレイに見えます。そうすると、「怖くて下を向いていた人も、必然的に正面を見る形」になり、その落下の瞬間撮影され、驚いた表情を撮影する…という事なのですね。
こうして何気ないライドショットですが、実はこうして、「半強制的」に、「しかも自然にゲストを上を向かせるテクニック」が使われているのです。
こうしたこだわりの部分は「筆者の勝手な想像」も含みますが、おそらくこうした意図があるのは間違いないと思われます。
普通に楽しんでいるだけではなかなか気がつかないこうした細かな部分。そんなこだわりが非現実の世界にゲストをひきこんでくれるんですね。
何気ない効果や動きのひとつひとつにもそうした理由が隠れている事が多いパーク。そんなこだわりをぜひ皆さんでも探してみてくださいね。