オリエンタルランドのパワハラ訴訟、何が問題?今後について考える

ライター:

ディズニーパワハラ裁判東京ディズニーリゾートを運営する(株)オリエンタルランドが、キャラクターとして働いていた従業員からの訴訟で、千葉地裁から88万円の支払いを命じる…と言うニュースがありました。

この件について何が問題なのか、何が話題になっているのか、同社やパークの今後は…?について考えてみたいと思います。

3年8カ月に及ぶ長い裁判が決着

ディズニーパワハラ裁判

今回の裁判の概要や詳細については、既に皆さんご承知だと思いますので、その過程や結果等については関連ニュースなどをまずご覧になっていただければと思います。

今回こちらの記事で考えたいのは、長引いた裁判によって、オリエンタルランドの「会社としての印象」が果たしてプラスになったのか…と言う部分。

各ニュースでも取り上げられていますが、特に現代社会ではパワハラやセクハラなどに対する企業の姿勢が重要視されています。

そんな中で特に「夢」や「魔法」と言った世界観を大切にしているディズニーの世界。まず訴訟になってしまう事はもちろんですが、「その後の対応」にも注目が集まるのは当然の事と言えます。

会社から発表されたプレスリリース

ディズニーパワハラ裁判

((株)オリエンタルランドのプレスリリースより引用)

そしてTwitterやネット上で話題になっているのが、今回の判決を受けて同社から発表されたプレスリリース。

こちらを見ると、判決に対し、「誠に遺憾」といった表現がされています。

裁判自体は一応の決着となりますが、これから同社は上告するものと思われます。そう考えるとまだ完全に終了した訳ではありませんので、完全なる敗訴と言う形にはならないとも言えます。

ディズニーパワハラ裁判

しかしながら、誰もが知る一大エンターテイメントである東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド。

千葉地裁は「労働者の心身の状況に応じて職場環境の調整をする義務を怠った」と指摘しています。この部分に関しては最低限、「今後の努力や改善の意思表示をすべき」と思います。

司法が下した判断に対して、上告するとしても一般的には「真摯に受け止め…」と言った表現が適切の様にも思えますが、ここで「遺憾である」と言う表現を使う部分に違和感がないとは言えない気がします。

過去にも表現に疑問符がつくケースも

ディズニーパワハラ裁判その他にも、少し前に話題となった、同社の社員募集のページに、スタンバイパスなどを開発した社員のインタビュー形式で、スタンバイバスによって並ぶ列が激減した事を「本当に嬉しい気持ちになりました」と表現がされた事があります。

こちらに関しては、「社員を募集する企業の立場」としては新しい取り組みを行う企業として良いのかもしれません。

しかし、現実的にはスタンバイパス制度によって「並べない」「乗る事ができない」と言う、「体験できない人が増えている」と言う現状があります。

ディズニーパワハラ裁判そうした「同じ金額を払っているのに犠牲になっているゲストの元に成立している制度」であるのに、単に「嬉しい気持ち」と言う表現をするのは適切ではない様に感じます。

近年、同社はこうした「企業としての対応」と言うよりも、「広報や表現の仕方や言葉のチョイス」に疑問がないとは言えない状況となっています。

夢や魔法を産み出す東京ディズニーリゾート

ディズニーパワハラ裁判

こうした裁判などの一連の結果を受けて、ネットやTwitter上では「ディズニーは好きだけど会社が好きじゃない」といった表現も並びます。

また同裁判の原告の方も「(略)ディズニーが悪いわけではないんです。悪いのは労働環境を是正してこなかったオリエンタルランドという会社」と言う表現を使っています。

こうした部分への「理想」と「現実」の区別について、いわゆる「Dヲタ」のファンの方々は非常に冷静によく理解されている印象を受けます。

こちらに関しては同社も裁判が長引いたり、適切とは言えない言葉を流すことで長期的に見てイメージの変化が起きる可能性も考慮していく必要があるかもしれません。

それでも裏で支えてくれている会社の未来に期待

ディズニーパワハラ裁判そんな様々な意見が飛び交う今回の判決。単純にここで「何が良くて何が悪い」を決めるのは司法の判断であって、私達ではありません。

色々ありながらも、パークを支えてくれているのは間違いなく、40年近く…いやそれ以上に渡ってパークを運営をしてきているオリエンタルランドと言う会社であるのは間違いありません。

もちろん組織としての決定や方向性が正しい選択なのか…と言う疑問はありますが、ここで毎日毎晩、ゲストの為にと働いてくださっている社員やキャストの方も大勢いらっしゃいます。

ディズニーパワハラ裁判

「何よりも守るべきもの」はそうした方々のより良い労働環境。そしてそれを受けて、心から楽しめるゲストがいる姿が理想だと思います。

色々話題になった今回の判決ですが、同社が出したリリースにある通り、会社として遺憾であり、認めるべきではない所は「事実」であるならばしっかり主張すべきだと思います。

しかし、そこで働く多くの方々のやりがいや、「夢」や「魔法」、「イマジネーション」を求めてやってくるゲストの為に真摯に向き合い、前向きに進んでいく姿勢と言うのをこれからも見せてくれるといいですよね。

ディズニーパワハラ裁判もちろん理想だけでなく現実的な面もある東京ディズニーリゾート。特にこのコロナの中の運営で、これまでにない状況になっています。

厳しい面もあるとは思いますが、まずは働くキャストや社員の方々の労働環境を整えて、その上でゲストが心から楽しめるパークになって欲しいものですね。

ABOUTこの記事を書いた人

DヲタのWEBライター。TDRハックの他に、 個人ブログ「TDRな生活」や「株式会社ぴあ」の「ディズニー特集 -ウレぴあ総研」で多くのTDRにまつわる記事を執筆。7冊のディズニー関連書籍の著者でもある。近著に「ひとりディズニー50の楽しみ方」 (サンクチュアリ出版 )。…慌てず急がず、ゆっくりゆったりとパークを散策しながらお酒を楽しむのが好きです。

2 件のコメント

  • 正直、記載されてるように上告する可能性があります。つまり、まだ判決が正しいというわけではないのです。

    自分がやってもない罪で無罪を訴えている時に、一審で有罪と言われたが、納得いきません、上告しますなんです。一審をうけて、判決を受けて改善しますなんていうわけがないと思いますが、寄稿主さんが訴えられた立場ならそうされますでしょうか?

    何も間違ったプレスではないと思います。こういったものは弁護士のチェックも当然うけていると思います。最近、OLC憎しになって、なんでも引っかかってる風潮のほうが怖いと感じます。

  • すべての企業は人から成り立っている事実を再認識するべきです。
    特に人に夢を与えられる場所を提供している企業が、従業員を大切にしないのはあってはならない事だと思います。

    今のオリエンタルランドの重鎮達は堅物ばかりなのでしょうか?
    懐古主義で申し訳ないですが、大人から子供まで夢を見られるディズニーであって欲しいです。

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