日本を代表する東西のテーマパークである東京ディズニーリゾート(以下、TDR)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)。
もちろん、それぞれ個性豊かで特徴あるパークですので、基本的に「どちらが楽しいのか」と言う比較をする意味はありません。
しかしながら、度々ネットやSNSで繰り返される議論がまた話題になっています。今回は今またなぜ話題になっているのか?…そんなところに触れてみたいと思います。
この記事のもくじ
そもそも比べるものでは無い個性的な両パーク
まず大前提として誤解しないでいただきたいのは、日本を代表する二大テーマパークということで、たびたび「比較の対象」になりますが、基本的には「どちらがいい」と優劣をつけるものではないと言う所。
言うまでもなく、全く同じ条件のものを比べるのであれば意味がありますが、その歴史や背景、立地と経緯、そしてそもそもそのテーマが大きく異なる2つのものを比べるのは意味がないといえます。
そして最大の要素とも言える、「個人の好き好み」もありますし、異なるものを比較するのは、極端にわかりやすく例えるならば、「カレーとラーメンどっちが好き?」と言うのと同じような議論であるとも思います。
ただ、そんな中でもやはり大きな区分として存在する「テーマパーク」。どうしても並べてみると見えてくる部分と言うのは存在します。
入場者数が「世界3位」となったUSJ
先日、ネットニュースで話題になったのが、「Themed Entertainment Association(TEA)」が発表した2022年のレポート。(同組織の公式サイトはこちら。※全て英語)
こちらによると「世界のテーマパークの入場者数」として、USJが世界のテーマパークの中で、入場者数第三位(1,235万人)となったいうものがあります。
ちなみに東京ディズニーランドは1,200万人で4位、東京ディズニーシーは1,010万人で5位、こちらの資料によると、USJが日本のテーマパークでは最大の入園者数となりました。
長くテーマパークに通うファンとしては、なかなか興味深いニュースですね。
しかし、そもそも現在の東京ディズニーリゾートは、チケットは完全事前予約制で入場者数を絞っている状態。さらに、こちらのデータではランドとシーはそれぞれ別のパークとしてカウントされており、TDR全体として考えると圧倒的な差があります。
また、両パークともに詳細の個別の入場者数は公表していないので、前述のTEAの独自データによるものとも察せられますので、こちらの結果だけを見て色々論ずるのは危険とも言えます。
コロナウイルスによる影響から大きく回復
長く制限運営を強いられていた国内外のテーマパークですが、ここに来てやっと大きく回復を見せています。
両パークに実際に通う筆者の感想としては、コロナ禍前の2019年から比較するとかなり回復した印象があります。
前述のTEAの入場者数データによると、コロナ前に比較すると、東京ディズニーランドは90%増、ディズニーシーは74%増、中でもUSJはなんと125%増と言う大幅な回復が見られます。
しかし、これは単に「ディズニーがユニバに抜かれた!」と短絡的に一喜一憂するのではなく、冷静にその状況を見てみる必要があります。
それは、単純に「入場者数が多い=楽しい」と言う理由には直結しないということです。
年パスで行きやすいUSJ、気軽に行きにくいTDR
この入場者数については、USJでは年間パスポートが既に販売されており、こちらの人数ももちろんカウントされているはずです。
特にUSJでは年間パスポートのスタンダードタイプは年間で除外日が90日ほどありますが、大人でも20,000円と言う破格の安さ。
そのため、2泊3日で3日間行けば、年間パスポートの方が安くなってしまう計算です。
一方、東京ディズニーリゾートでは、年間パスポートはまだ再開しておらず、まだその気配さえ見せていません。
それだけでなく、「マルチデーパスポート(複数日利用可能なパスポート)」もいまだに復活しておらず、「行きやすさ」と言う意味では、USJの方が気軽に行きやすい部分はあると言えます。
エンタメの数と種類で圧倒するUSJ
9月に入り、人気のハロウィーンイベントが開催されて賑わう両パーク。
年間で様々な季節イベントが実施される両パークですが、今の両パークを見てどうしても感じてしまうのが、現在の「エンターテイメントの種類や質、回数の差」。
前述した様に、そもそも両パークは単純に比較する物ではないのですが、パーク内で開催されているショーなどのエンターテイメントの物理的な数は、現在は圧倒的にUSJの方が多いのが現状です。
USJではキャラクターグリーティングもショーの一つとされているため、単純にショープログラムの数だけでは比較できないのですが、公式サイトで比較(事前申込制のものは除く)すると、例えばランドは一日7つ、シーは6つあります。
更にTDRは抽選のショーがあり、当選しないと基本的には希望の時間では見られない状況であるため、現実的にはもう少し少なく感じます。
対してUSJでは約20プログラムあり、メインショーとされるものも一日4回公演と言うものもあります。(TDRで言う所のアトモスショー的な規模のものも含みます。)
元々ショーの抽選がないUSJでは、外国人シンガーやダンサーを多用した生歌のショーや、火薬や本格的なスタントが迫力あるショー、現在のハロウィーンでは夜になると特殊メイクのソンビが園内にかなりの人数が登場する…と言ったエンターテイメントを楽しめます。
完全回復の兆しが不透明なTDRのエンターテイメント
一方、TDRでは、例えばいまだにディズニーシーの「ビック・バンド・ビート」はいわゆる短縮コロナバージョンとも言える「ビッグバンドビート~ア・スペシャルトリート」が実施中で、生歌やバンドの演奏がほぼありません。
更に現在の40周年の「レッツ・セレブレイト・ウィズ・カラー」はキャラクターが船に乗って海を周回して帰っていく…と言うシンプルなグリーティングショーに留まっています。
ランドでは色々と復調しつつありますが、ハロウィーンで人気の「スプーキー“Boo!”パレード」なども一日一回のみの公演と全体的に縮小されたままの印象。
また、ランドもシーも元々ショーステージである、「シアターオーリンズ(ランド)」、「ドックサイドステージ(シー)」では本来はキッズプログラムである「ジャンボリミッキー!レッツ・ダンス!」がまだ開催中で、元々行われていたショーは復活の兆しさえ見えません。
こうした部分は「単純比較はできないもの」と思いつつも、やはりその差は歴然。色々な事情があるとは言え、やはりどうしても気になる部分であるのは仕方が無いと言えると思います。
ただ、現在は東京ディズニーシーの新エリアである「ファンタジーススプリングス」の公開が2024年春と間近に控えています。また、ここでは大きな動きや更なるパーク全体の進化が見込めるとも言え、こちらにも期待したいところですね。
楽しめるかどうかは「自分次第」
多くの方の意見にも見られるように、コロナ回復後の両パークのエンターテイメントの数や内容については現実的・物理的にその差は大きくあると言える部分はあると思います。
最近は両パークに行かれた方の印象がSNSなどで見られることが多いですが、そうしたエンターテイメントの数や内容については、両パークの様々な比較について、様々な意見が交わされている部分を見ることができます。
こうした部分がその「差」となり、「どちらの方がいい」と言う話題になっていると感じます。
やはりそれなりの満足度を得るためには、楽しめる回数や質と言うのは、必然的に求められてくるものでもあります。
しかしながら、冒頭でも触れている通り、「どちらがいいか?」と言うのは単純比較できるものではなく、その満足度は数や種類だけで表されるものではありません。
それぞれ皆さんが「何を求めているか」と言う部分が最大のポイントであると思います。
ここに来て一気に回復の速度が上がったエンターテイメント業界。
これからも良い意味で、両パークのそれぞれの個性や特徴が大きくなって刺激され、お互いが高め合っていくと良いですよね。