
新型コロナウィルスによる運営縮小の影響から、徐々に復調を見せるテーマパーク業界。
それに併せて、各地のテーマパークなどでも様々なエンターテイメントが復活の兆しを見せています。
そんな中、気になるのがこれから始まるショーやパレード等の「リハーサル風景をSNSにアップする事」。これについて、許せるか、許せないか…について考えてみたいと思います
この記事のもくじ
少しでも早く知りたい派?当日までの楽しみ派?
ご承知の通り、各テーマパークなどで行われるショーやパレードなどは、本番が始まる前に通常営業時間外でのリハーサル等が行われます。
そんな中、例えば東京ディズニーランドのパレードやステージでのショーは物理的に見る事はほぼできません。
しかし、ご承知の通り、東京ディズニーシーに隣接するホテルミラコスタの海側の部屋からは水上ショーのリハーサルの様子がすべて見ることができる場合もあります。
ただ、「少しでも早く見たい!」と言う意見の他にも、人によっては「いや、自分が見る当日まで楽しみにしておきたい!」と感じる方も多くいるのでなかなか難しい問題でもあります。
本来は「隠しておきたいもの」であるはず

東京ディズニーシーのハーバーに面しているホテルミラコスタでは、水上ショーのリハーサル風景を運営側が隠すことは現実的にはできません。
こうしたリハーサル風景は本来ならば運営側としては隠しておきたいもの。
しかし、ホテルミラコスタはそうした「ショーのリハーサル風景などが見られる事」もホテルの付加価値となっているのも事実です。
ただ、これを各自で楽しむのは全く問題ないと思うのですが、最近はSNSや動画サイトに公開することの是非について、いろいろ議論が起きています。
USJは「非公開エリアは撮影禁止」の文言が
そんな中、最近話題になっているのが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)で、3月から始まるパレード、「NO LIMIT! パレード」のリハーサル映像などがSNSにアップされた事。
USJの近接のユニバーサルシティーにはパーク内の様子が見られるホテルがたくさんあります。
ミラコスタからは構造的にディズニーシーのオンステージ(ゲストから見える場所)しか見えませんが、USJ周辺ホテルからはバックヤード(ゲストに見えない裏側)が見えるところも多くあります。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン公式サイトより
こちらについて、USJの公式サイトには上記のように撮影についてのお願い事項があります。これによると、「非公開エリアの撮影は禁止」との文言があります。
厳密に言うと、今回のリハーサル画像等は「非公開エリア」といえるかどうかは微妙ではありますが、これはパーク側が「一般公開していない事を公開するのは遠慮して欲しい」と言う意図が汲み取れます。
お願いは「パーク内」。ホテルからは止める権限はない?
しかしながら、このUSJ側のお願いは、「あくまでパーク内のゲストに対してのもの」とも捉えられます。
もちろん本来ならば守られたいこうしたリハーサル映像ですが、「ホテルから見える風景」に対しては、パークとホテルがそうした厳格な契約などをしていない限り禁止できるものではありません。
あくまで「パークからのお願い」になり、「ゲストのモラル」といった部分に任せる部分があると思います。
しかしながら、パークファンの間ではこれまでファンの間で守られてきた、そうした非公開の状況をアップする事に対して議論がされています。
現実的には止められないSNSの情報
こうしたリハーサルについては、ネタバレを楽しむ人などもいる反面、当日初めて見るまでそれを楽しみにしたいと考える方もいます。
そのため、こうした行為はやめるべきとの声もたくさんあり、本来ならばそうすべきであるとも思います。
しかしながら、SNS全盛の現代、そうした経緯や状況を知らずに「悪意のない自然の行動」で行われてしまう事もあり、そうした方を過剰に攻める風潮があるのも事実です。
前述の通り、厳格に禁止する事は現実的には不可能であるとも言える状況。ルールやモラルを守る事は大切ですが、状況を冷静に、客観的に見極める事も必要なのかもしれませんね。
「情報」が承認欲求を満たすツール化している事も原因

こうしたリハーサル風景等は、ただ単に「自分がラッキーなものを見られた!」と思うだけなら何の問題もありません。
しかし、SNS全盛期の現代では、それをアップしことによって「いいね」をもらえたり、いわゆる「バズってほしい」「いい動画のネタになった!」といった、承認欲求が少なからずあるのも問題が大きくなりやすい原因だと思われます。
ただ、それは「誰しもが少なからず持っている欲求」でもあり、それ自体は決して悪いものではなく自由だと思います。
しかし、こうしたものは前述の通り、「本来であれば当日までシークレットにしておくべきもの」であるのも事実。そのあたりを見極めたいものですね。
アップして「起きる弊害を見通す力」を身に付ける
本来は心の中に留めておきたい風景。
「注目を浴びたい!」「たくさんの人に見てもらいたい!」と言う気持ちは非常によくわかります。
しかし、現代では悪意が無くても思いもよらぬ言動が炎上してしまったり、大きな影響を与えてしまう、SNSの世界。
最近話題になった大手外食チェーン店での炎上動画もそうですが、「これを載せるとどういう反応があるか」と言う、「少し先の未来を見通す力」が必要であるとも言えます。
そうした部分も考慮した上で、客観的な視野ももちながらパークやSNSを楽しみたいものですね。