遂に、2019年3月26日からニューフェイスがTDRに導入されました。
2017年元旦、香港ディズニーランドにアニメーションルックの新フェイスミッキーが登場したことを受け、世界のディズニーパークの中で、新フェイスのミッキー、ミニーの登場がないのは東京ディズニーリゾートのみとなっていました。実に2年間の猶予期間をへて、遂に2019年の3月から東京でも導入という形になりました。
この記事では、グローバル企業のマーケティング戦略、オリエンタルランドとディズニー社の関係をもとに、「新フェイスが東京にきた理由」と「来ないとされていた理由」の両方の考え方を紹介しています。
2019年2月28日、TDR公式ツイッターが「ディズニー・イースター」のプロモーションツイートを画像付きで紹介。そこにはニューフェイスのミッキーとミニーが写っており、2019年3月26日の35周年イベント終了に合わせて、東京でも新ヘッド導入となりました。
【ニュース!】
4月4日から開催される東京ディズニーシーのスペシャルイベント「ディズニー・イースター」。
今年初登場の昼のハーバーショー「Tip-Topイースター」でミッキーマウスとミニーマウスが着用する春らしいコスチュームをひとあし早くお披露目!
>> https://t.co/NzFFpgveFT pic.twitter.com/fC6kfMfIHD— 東京ディズニーリゾートPR【公式】 (@TDR_PR) 2019年2月28日
この記事では、時系列やマーケティングの理論からのニューフェイス導入について論じます。
この記事のもくじ
香港ディズニーに登場で、残すは日本のみの状態が2年間続いた
1月3日、香港ディズニーランドにニュールックのミッキーが登場。
香港のミキミニは、やはり今日からニューフェイスでした!
写真で見るだけだと違和感あるかもだけど、実際に会ってみるとすっごく可愛いよ♡
角度によっては見慣れないかんじになるけど、横顔は全く変わりないしね☆
ペアグリできてよかった♡#HKDL pic.twitter.com/nCzDw0E1jb— EMIRI@HKDL (@emyu1126) 2017年1月3日
世界で残るは東京ディズニーリゾートのみとなり、この状況(東京だけ旧ルック)が続くということは、あまり考えられませんでした。
しかし、以下のようなマーケティング理論、日本独自のディズニーリゾートの事情を踏まえると、そうでもなかったのです。
グローバル・マーケティングからニュールックミッキーを考える
世界規模で行われる企業戦略、「グローバル・マーケティング」には、以下の二つがあります。
1. 標準化戦略(世界中で足並み揃えていきましょうというスタンス)
2. 現地適応化戦略(国ごとに戦略が違ってもいいでしょというスタンス)
ディズニー社が「グローバル・ブランドとしてのディズニー」を追求するなら、1の標準化戦略で、ニュールックが東京にも導入ということになりますが、そうは簡単にはいきません(だからこそ2年もかかったのではないでしょうか)
消費者のニーズが本国と比べて特異な場合、2の現地適応化戦略が優先されます。
つまり、現行ミッキーミニーのニーズが特に高い場合、東京にはニュールック導入見送りの方が、マーケティング的には合理的でした。
(ただし、消費者のニーズが企業に届いているかはまた別問題です。)
ちなみに、他のグローバル企業を見てみると、近年は1の標準化戦略が主流です。
2019年、TDRもこの標準化戦略をとることになりました。確かに今までのフェイスはファンが多かったが、東京のニーズは総じて、本国と比べても特異とは言えないと判断したのでしょう。
実際、キャラクターのファンだから来園する、キャラクターにプライオリティがある、というゲストは果たしてどれくらいいるのかということも考える必要があります。
しかし、ニューフェイス導入が明らかになる前は、「ニュールックは東京に来ないのでは?」という考え方もありました。
他のパークがそうだから、東京もニュールック導入とは一概には言えないもう一つの理由があったのです。
ディズニー運営会社オリエンタルランドの特殊性
日本のディズニー運営会社オリエンタルランドは、「世界で唯一、ディズニーとの資本関係が一切ないディズニーリゾート運営会社」です。
オリエンタルランドは、入場料10%、物販飲食の売り上げ5%を特許料としてディズニー社に払うことで、独自にディズニーリゾートを運営しています。
ご存知の通り、この日本のディズニーリゾートの特殊性が、先ほど紹介したマーケティング理論の2、「現地適応化戦略」を加速させ、東京ディズニーリゾートの現在を作り上げてきました。
東京ディズニーシー、ダッフィー成功の物語はこれを象徴していますね。
「ディズニーと資本関係が一切ないオリエンタルランド」×「現地適応化戦略」ならニュールックなし
まとめると、「ディズニーと資本関係が一切ないオリエンタルランド」がゲストのニーズを優先する。グローバル企業のディズニー社も「現地適応化戦略」の一環で経済合理性ありということであれば、東京ディズニーリゾートにニュールックのミッキーは導入なしということになります。
もっとも、ゲストのニーズを「ニュールック反対」を前提にしている話ではありますが、SNSを含めた顧客の反応(実写グッズの売り上げなども?)をもとに、オリエンタルランドはニーズを把握し、実写グッズを多く発売してきました。
ニュールックのミッキー導入の時系列をまとめた記事です。
また、「ディズニー・フェアリーテイル・ウェディング」もありますので、簡単にはお顔を変えることは難しい、という意見も以前にはありました。
結局、オリエンタルランドが2年間の猶予期間をかけてとった「標準化戦略」。
皆さんはどう思いますか?お気軽にコメント欄にご意見をお寄せください。
参考文献
ディズニーリゾートの経済学
グローバル・マーケティング―世界市場での新たな成長への枠組み
『現代マーケティング論』