ディズニーで賛否両論「肩車問題」について考える。問題点・TDRの対応・解決策は?

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大勢のゲストが集まる東京ディズニーリゾート。たくさんのゲストが集まる以上、それなりの「一定のルール」が存在しないとパークの中は色々と大変な事になってしまいます。

そんな中、様々なルールや決まり事があるパークですが、最近ネットやTwitterで話題になった「お子さんの肩車」。

賛否両論、様々な立場の方の意見があるこの件について、何が問題なのか、今後はどうすればいいのかなどについて今回考えてみたいと思います。

そもそも「肩車」の何が問題なのか?

これまで、何度も話題になった「TDRのパーク内での肩車問題」。一般的に考えれば、例えば公園などで「お父さんやお母さんが自分の子供を肩車する」と言うのは、微笑ましい光景のひとつです。

ただ、それが一転、東京ディズニーリゾートのパークの中での肩車は「危険である事」や「ショーやパレード等で後の人が見えなくなる」と言ったネガティブなイメージになってしまう事があるのも事実です。

そんな中、東京ディズニーリゾート公式Twitterアカウントのこんなつぶやきが話題になりました。

同ツイートのリプライ(引用含む)を見るとわかると思いますが、これまで一部で禁止とされてきた肩車の写真を公式アカウントが掲載し、過去の写真とはいえ、今は容認されているかの様な表現がされました。

写真自体は過去のもの(20年前のディズニーシーのグランドオープンの時と思われます)とは言え、これを受けてネット上では賛否両論、様々な意見が交わされる状況になりました。

話題になった賛否両論をまとめてみると、大体以下の様な意見に分類されると思います。

《肩車反対派の意見》
■単純に不安定な高い位置で危険
■親は両手がふさがっている状態で転んだ場合、自分も怪我する可能性がある
■ショーやパレード中にやると後ろの人がほぼ見えなくなる
■長時間待っていたのに前でこれをやられるとどうしようもない
■子供の足の位置が大人の顔の高さになり、汚される可能性がある

《肩車賛成派の意見》
■親と子の微笑ましい風景で問題ない
■親心としては子供に見せてあげたいもの
■早くから場所取りされているからそうしないと見せられない
■ショーが見られないマニアたちの勝手な言い分
■小さい子供が見られる場所がないから仕方ない

当然の事ながら、これは「立場が変われば考え方も変わる」もの。双方どちらの意見も「それなりの理由」があり、その立場になってみないとわからないもの。単純に善悪の判断をするのは難しい事でもあると思われます。

東京ディズニーリゾート側の対応は?

この肩車について、過去は「明確に禁止」とされていた時期があります。ただ、それもルールとして明文化されていた訳ではなく、「周りのゲストの迷惑になる」または「危険である」といった理由で、「ゲストに皆さんへのお願い」という形になっていました。

これまでは皆さんもご承知の通り、パーク内で撮影をする場合は「カメラが頭の高さを超えない」「ショーやパレードの時は大きな帽子やカチューシャは外す」と言った事がルールとしてキャストからも伝えられ、パークで配布されていた「TODAY」にも記載されていました。

しかし、こうしたルールに関して、近年はリゾート側としては、あまり厳しく言わなくなってきている傾向があります。

問題の肩車については現在は状況によってはOKだったり、目の前で肩車をしていてもキャストは特に声をかけない…といった状況も増えてきています。

これまでも統一された厳格なルールがあった訳ではないのですが、近年はその場の状況に応じてキャストが個別に判断しているケースが増えてきています。

確かに「肩車をする」と言う行為に違法性があるわけではなく、通常に比べれば危険ではあるものの、言ってみれば「自己責任の範囲」であるとも言えます。

しかしながら、過去にはそうした他人の迷惑になる可能性がある行為は抑制していたパーク。今後はゲスト同士の問題はゲストが解決する…と言う事にも捉えられる状況は今後のショー観覧で非常に気になる部分です。

今後はどうしていくべきなのか?

まず、冷静に「肩車」と言う行為ついて考えてみると、「幸せな家族の象徴」の様なイメージがあり、世間一般的には何の問題もないと思います。ただ、それは周囲の安全が確保された状況(自宅や公園など)が必要だとも思います。

対して、不特定多数の人が集まる場所(TDRや街中)では、人にぶつかってしまう、もしくは落下の危険性があり、お子さんだけでなく、親本人、そして周囲の人間も危険である可能性が必然的に高くなります。

一方では「自己責任だから」「危険ではない」「それくらいいいじゃないか」との考えもあると思います。しかし、他人に影響を与える可能性が出てくると「自己責任の範囲」を超えてしまいます

パーク側が完全に肩車をOKとの明確な意思表示をしたわけでは無いですが、一部で認められている現状。起こり得るデメリットや事故、怪我の可能性を考えるのであれば、個人的には「肩車は禁止とした方が問題は少ない」ような気がします。

東京ディズニーリゾートを運営する(株)オリエンタルランドはパーク運営ついて、何よりも最優先されるべきものは【Safety(安全)】であると、同社の行動規準に示されています。

そこには「安全な場所、やすらぎを感じる空間を作りだすために、ゲストにとっても、キャストにとっても安全を最優先すること。」と書かれています。これらを考えると自ずと答えは出てくるのではないでしょうか。

それでも見せたい親心。考えられる有効な策は?

それでは、この問題をどうすれば良いのかを考えてみたいと思います。

ここでは「実現可能性があるか無いか」と言うより、こうした形であれば「多くの方ができるだけ納得できる形に近い」と思われるものを挙げてみました。

■過去にあった様な「キッズ鑑賞エリア」を設ける
■背後に人がいない、壁等があり、安全確保できるエリアでは肩車をOK(それ以外は禁止)とする
■メインの観覧場所は完全入れ替え制として、同一の人が滞留しないようにする
■(究極の理想論ですが)多くの方が楽しめるためショー等の公演回数を増やす

…と、いった所でしょうか。しかし、いずれにせよそう簡単に実現できるものではありません。なかなか現実的には難しい部分もあると思いますが、少しでも改善されていくと良いですよね。

大切なのは「お互い思いやりの気持ち」で楽しむ事

それなりの金額と時間を使って楽しむ東京ディズニーリゾート。当然ですが、誰しもがそれ相応の楽しみ方をしたいと思っているもの。しかし、そう思っているのは自分だけではありません。

例えば「肩車で子供に見せてあげたい!だって3年ぶりなんだから!」と思う方もいるかもしれません。しかし、その後ろには、ひょっとしたら5年ぶり、10年ぶりの方がいるかもしれません。

たくさんのゲストが集まるパーク。誰もが自分がより有利に楽しく過ごしたいと思っています。しかし、その想いはそのゲストの数だけ存在しています。

なかなか現実的には穏やかな気持ちを維持し続けるのは難しいかもしれませんが、一番シンプルで単純な方法としては「それぞれが周りの人を思いやってお互いが気持ちよく見られるように配慮すること」なんですよね。

「自分が楽しみたい思い」は同じ位、その思いを持った人がたくさんいるパーク。そうした思いやりの気持ちを持って穏やかな気持ちで楽しみたいものですね。

ABOUTこの記事を書いた人

DヲタのWEBライター。TDRハックの他に、 個人ブログ「TDRな生活」や「株式会社ぴあ」の「ディズニー特集 -ウレぴあ総研」で多くのTDRにまつわる記事を執筆。7冊のディズニー関連書籍の著者でもある。近著に「ひとりディズニー50の楽しみ方」 (サンクチュアリ出版 )。…慌てず急がず、ゆっくりゆったりとパークを散策しながらお酒を楽しむのが好きです。

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