
TDR新サービス「ディズニー・プレミアアクセス」。かねてより噂されていたファストパスの有料化が現実のものとなりました。このプレミアアクセスの導入に当たってはSNSでも賛否両論。推進派、容認派、諦観派、反対派と意見はさまざまです。この記事では、プレミアアクセスの議論で見落とされがちなポイントを紹介したいと思います。
この記事のもくじ
有料ファストパスといえる「ディズニー・プレミアアクセス」導入

ファストパスの有料化ともいえる、プレミアアクセス。2000円払えば、優先レーンから入場できるというシステムです。
今のところ、ディズニーランドは「美女と野獣“魔法のものがたり”」、ディズニーシーは「ソアリン:ファンタスティック・フライト」といった2大人気アトラクションに限定されています。
プレミアアクセスを使うと、普通のスタンバイ列でなく、優先列から入場でき、混雑時でも20分〜30分でアトラクションに乗れるというもの。
アメリカのディズニーリゾートではずいぶん前から優先待機列の課金制を始めていましたし、USJなども同様のサービスが展開されていますから今になって驚くことはありませんが、この有料サービスは賛否両論を巻き起こしました。
選択肢が増えるのはいいこと?

「プレミアアクセスという一つの選択肢が追加されたのはいいことである(サービスの多様性)」という意見については賛同できる方も多いのではないでしょうか。
特に、現状の混雑度、ファストパス無しの運営、新型コロナウイルスの状況(ソーシャルディスタンス)を考えると、新たな優先列サービス導入は待ちに待ったものと言えます。
しかし、優先待機列をオプション課金制とすることには色々な議論のポイントが生まれてきます。
混雑がいやならお金を払えば良い?浸透するゲスト自己責任論

まず、一番大きなポイントとしては、有料の選択肢を作ることで、オリエンタルランドにとっては「混雑状態=マイナスポイント」への批判をかわすことができます。
不満につながる混雑状況を改善し、色々な形でゲストの満足度を高めていくことは、企業の責務といってもよいでしょう。
プレミアアクセス導入は、不満を生むマイナスポイントから目を逸らし、逆にそれをうまく活用したサービス(混雑してないと成り立たないサービス)です。
混雑すればするほど、プレミアアクセスの需要は増し、「並ぶのがいやなら課金すればよい」のに何が不満なの?という構図がゲスト間でもできてしまいがちです。運営側からしたら都合の良いサービスです。
大混雑の状況でしかこれない家族状況や家族構成のゲスト、地方からのたまにしか来れないゲスト、長時間の待機列はコロナウイルス感染の観点からNGというゲスト、また、長期間の待機が難しい障がいのあるゲストはどうなるかなど、さまざまなポイントがあると思います。
プレミアアクセスという選択肢が増えたというより、その選択肢を迫られるゲストが増えるということではないでしょうか。
そして、金銭的な負担はゲスト持ちです。有料の選択肢とすることで、自己責任論を押し付けることができます。混雑状況は課金で解決するべき問題なのでしょうか。
プレミアアクセス導入なら、入場料を下げるなどの方策があってもよいのでは…その方がゲストの多様なニーズに応えられるのではとも思ったりしますが、経営的に難しいのでしょう。せめてプレミアアクセスの子ども料金導入などは検討して欲しいと思ったりもします。
以前のファストパスの時代が良かったなと思うのは時代遅れなのでしょうか。なんでもかんでも課金で、「使うか使わないかは自由」、「その余裕があるかないかは自己責任」は少し抵抗があるのは筆者だけでしょうか。
その自由行使しない(したくない・できない)人は、自由を行使した人に、負の影響を受けてしまうサービスのような気がします。(プレミアアクセスを使う人が増えれば、使わない人の待ち時間は長くなる。)
課金のサービスはもっと特別な体験に使いたい。混雑とかはインフラだからチケット代込みにしてほしいという意見はもっともなのではないでしょうか。
インフラに課金制度が増えすぎると、ゲストの間でぎくしゃくした感情、体験(優越感、不公平感など)などが生まれてしまうかもしれません。
夢の国で細かいところでお金のことはいちいち考えたくない…という人もいるでしょう。
導入は5月19日より開始。本格的には週末にどれくらい利用されるか、スタンバイ列にどのような影響が出るのか、可能な限りレポートしていきたいと思います。