ディズニーランド・ディズニーシーで働く、または以前働いていたキャストが話す「実はこうなんですよ」という話。それはファンとしては興味深い内容かもしれません。
確かに聞いてみたい、読んでみたい話ではあるけれど、なにかモヤモヤするものが…。今日は、そのモヤモヤについて考え、「ディズニーキャスト裏事情」の本や記事についての問題点を書いていきます。
ディズニーの裏事情に関する本や記事について

これまで、ディズニーランドで働いていた方が書いた本は世の中に色々と出版されています。
テーマとしては、「社会人としてディズニーランドで教わったこと」だったり、「人材育成術」、そして、「おもてなし」だったりします。
そして、最近のものとして、「キャストがみた現実」というテーマが加わりました。
シリーズものの本です。他の本は特定の企業名は登場しない一般の職業にフォーカスしていますが、ディズニーは一大企業で特別なのか、ディズニーの名を冠したタイトルで、カストーディアルが見た現実本・記事が注目を集めています。
ディズニー裏事情本のモヤモヤと問題点は
ディズニーランドの現実をキャストが語る。「実は〜〜〜なんです」という話は確かに注目を集めるでしょう。
でも、やはりすっと胸におちないことがある。いくつか問題点とともに整理したいと思います。
業務上知り得たことは口外しない
まず思い当たるのは、一般的に「業務上知り得た情報はみだりに口外してはいけないのでは?」ということだと思います。
特定の企業名を出せばなおさらな気がしますがどうでしょうか。
企業名を出さずとも、倫理的にNGな気もします。例えば、塾の講師をしていて、「こんな生徒がいてすごい困った」という文脈で、具体的なエピソードをネット上に公開するのはNGではないでしょうか。その生徒のことを思えば尚更です。
たしかに、人権に反する問題、違法な行為があると考えた際は業務上知り得たことを口外するケースはあって当然でしょう(情報の提供先は然るべき関係機関であることが望ましい)。
そうでないと、パワハラ、セクハラなどの職場で起こるハラスメント、人権侵害の問題は是正できません。
しかしながら、社会的不正義の是正といった側面から離れた情報公開は、雇用主との関係・約束や、サービスの受ける消費者との関係に慎重になるべきではないでしょうか。
ディズニーが守る物語の否定
そして、なによりゲストとしてモヤモヤしてしまうのが、「現実」を語ることが「物語」の否定を目指している、つまり、「ディズニーってそんなにキラキラしてる世界ではないんだよ」というメッセージを発してしまっていることです。(物語の否定が読者を惹きつける要素になってしまっている。)
ゲストも「現実」なんてことは十分理解していて、それでもパークにいる間くらいは、ディズニーが与えてくれるワクワクした「物語」の一部になれるよう、「演出」にのっているはずですよね。もちろん、その物語を守るために、お互いの心遣いを大切にしながら。
やっぱりパークにいる間はキャストとゲストの間に「夢がかなう場所」という「物語」の共有があるはずです。
そこに、「コーラで地面を汚しているゲスト」など、すこし乱暴な言葉で表現されると、モヤモヤしてしまうのは私だけではないはず。
もちろん、中には、社会問題の是正や人権意識向上につながるような裏話もあるかもしれません。
しかしながら、そうではない裏話が「物語」の否定を目指す直接・否定的な言葉(例:処理・汚す・落胆)で語られる時、冷や水をかけられるた気がするのは、ゲストとしては否めないところがあります。
社会問題の提起というより、読者の興味関心を引くためにディズニーの裏話が消費される時、そこを「夢の国」と考える人にとっては複雑な気持ちになるのは自然なことなのかもしれません。