【TDS】「タワー・オブ・テラー」に隠された「13」の数字の秘密

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東京ディズニーシーにある人気アトラクション、「タワー・オブ・テラー」。ディズニーリゾート初のフリーフォールタイプのアトラクションとして2006年にオープンしました。

こちらは冬になると特別版の「Level13(レベルサーティーン)」といったアトラクションが実施されたり、不吉な「13」の数字にまつわる物語があります。

しかし、意外と知られていない、この「13」の秘密。今回はちょっとマニアックな部分をご紹介します。

実は13の数字だらけ。こだわりの数字はこんなに!

皆さんご承知の通り、欧米で不吉とされている、「13」と言う数字。

なぜこの13が不吉なのかは諸説存在しており、例えば「キリストを裏切った『ユダ』が13番目の弟子だった」と言う説や、「死刑台への階段が13段だった」と言う説など、色々とあるようです。

そんなこの忌み嫌われている「13」の数字は、欧米諸国ではホテルやビルの階数や部屋番号などは避けられる傾向にあります。

しかし、そんな不吉な数字や呪いなどを全く気にしない、アトラクションの主人公であるハリソンハイタワー3世。

そんな彼は、むしろ積極的に13の数字を好んでいたようにさえ感じます。

偶然なのか、それとも彼の運命を暗示しているのか?…このホテルに隠れた13の数字をご紹介します。

(今回の記事は、以前に東京ディズニーリゾートの公式サイトの中にあった、「タワー・オブ・テラー」の特設サイト「tot1899.com(現在はなくなっています)」から内容を抜粋しています。現在は見られないため、内容が一部異なる場合もあります。ご了承の上、ご覧ください。)

忌み嫌われている13階に自分の部屋を設置

巨大なホテルハイタワー。いくら自分の建物とは言え、最上階に自分の部屋を設けるのは現代社会ではあまり考えられない事かもしれません。

そんな中、そうした迷信などを気にしないハイタワー三世は、忌み嫌われている数字の「13」階に自分の部屋を設けています。

このホテルは14階建て。そのうち、彼は12〜14階を自分の部屋としているのです。アトラクションの途中でその部屋をゲストは見る事になります。

傍若無人で自己顕示欲の強い彼は、あえて人が嫌がる数字を選び、「そんなものは気にしない!」とアピールすることで自らを強く見せようとしていたのかもしれませんね。

ホテルツアー開始はハイタワー失踪から13年後

そんなハイタワー三世がシリキ・ウトゥンドゥの呪いで失踪したのは、1899年12月31日の夜。

その後、ホテルはニューヨーク市により一時閉鎖され、しばらく経った後、「ニューヨーク市保存協会」によってホテルツアーが開始されます。

このツアーが開始されたのは1912年9月4日。ちなみにこの日付は、現実の同アトラクションのグランドオープンの日でもあり、東京ディズニーシーのグランドオープンの日でもあります。

…実はこのツアーが開始され、ホテルが再び開けられたのが、彼が失踪してから「13」年後なのです。

これは偶然なのか、必然なのか…?誰も気づかないようなところに隠れた数字が興味深いですよね。

ロビーに飾られた絵は13年間の冒険の記録

ホテルに入って、ロビーの上部にはたくさんの絵が飾られています。これらの冒険の絵は、ハイタワーの1875年のカンボジア遠征から1888年のペルシア遠征までの「13」年間を描いたもの。

しかし、ハイタワーの冒険がかなり誇張されて描かれたこれらの絵。

興味深いのは、この絵は彼の冒険の年数だけでなく、ロビーに飾られている絵の枚数を数えると…なんと、肖像画も含めると、ちょうど13枚なのです。

まさかの驚くべきこだわりですね。

自分の冒険雑誌発刊から13年後にホテルがオープン

ハイタワー三世は1879年から冒険雑誌を出版。自分をヒーロー化した物語をイラストつきで掲載していました。

その発刊から「13」年後、1892年1月23日にホテルハイタワーは開業します。

彼はどうもこの13の不吉な運命から逃れられなかったようですね。

建築家を解雇した13年後に自分が失踪

また、なかなか気がつかないこんな細かな数字もあります。ハイタワーはこのホテルを建設するにあたり、1886年に「オスカー・キルノフスキー」というロシアの建築家にホテル・ハイタワーの設計を依頼します。

上の写真、中央で図面を持っている人物がその建築家。しかし、ハイタワーは彼のデザインが気に入らなかったのか、後に解雇してしまいます。

その「13」年後の1899年にハイタワー三世は失踪してしまう…と言う事になるのです。

登場人物は15人と思いきや…実は?

こちらの「タワー・オブ・テラー」に登場する人物は、まず主人公であるハリソンハイタワー3世。

そして、蓄音機がある部屋でハイタワー3世に喰ってかかる新聞記者、マンフレッドスラングがいます。

また、少し詳しい方はご承知の通り、このホテルツアーを主催する「ニューヨーク市保存協会」の代表、ベアトリスローズエンディコットと言う女性。

アトラクションに普通に体験するだけですと、大体この3人ぐらいしか関連の登場人物は出てきません。

しかし、実際はこの物語には実は多くの登場人物が関係しています。

以下は、過去に公式ホームページにあった特設サイトの記載にあった人物を並べて要約したものです。

(1)スメルディング
アーチボルト・スメルディング。ハイタワー三世に忠実な執事であり友人。ロビーの絵にも描かれています。

(2)チェスター・ファリントン・ウールブール
ハイタワー三世の冒険を大げさに書いた書籍、「ハイタワー三世 真実の冒険物語」を書いた人物。

(3)アイリス
下記の(11)の友人。上流階級のお嬢様と思われ、彼女と一緒にニューヨーク市保存協会の設立に友人を説得して回った人物。

(4)ウィリアム・ハワード・タフト
第27代アメリカ合衆国大統領。実在した人物です。(10)とともに、SSコロンビア号の出航セレモニーに招待されています。

(5)オスカー・キルノフスキー
ロシアの建築家。ハイタワー三世からホテルのデザインを任されたが、折り合いがつかず、後に解雇されてしまいます。

(6)キジャンジ
ムトゥンドゥ族の首長。ハイタワー三世の書斎前の部屋、ゲストが待たされる写真がたくさんある部屋にシリキ・ウトゥンドゥとハイタワー三世と一緒に写っている人物(上の写真)。

(7)キブワナ・キジャンジ
(6)の息子。(6)が他の民族の襲撃を受けて殺されてからニューヨークに逃げ、SSコロンビア号の石炭供給者として働いている一般人。

(8)ギルバート・ミッチェル
ハイタワー三世の最後の記者会見に出席した国際会報配信エクスプレス・サービス(ハイタワー三世が持っていた新聞社)の記者。

(9)コーネリアス・エンディコット三世
ハイタワーと幼少の頃から因縁を持つ。豪華客船SSコロンビア号や(13)が勤める「ニューヨークグローブ通信」を所有する、USスチームシップカンパニーの社長。ホテルの保存を巡って実の娘の(12)と対立。

(10)セオドア・ルーズヴェルト
アメリカ合衆国第26代大統領。(4)とともに、SSコロンビア号の出航セレモニーに招待されていました。

(11)ハリソン・ハイタワー三世
この物語の主人公。シリキウトゥンドゥの呪いで行方不明になる。実業家であり、冒険家だが、収集品は世界中で略奪したり強奪したものがほとんど。頭脳は優秀だが、傍若無人でかなり利己的。(9)とは犬猿の仲だった。

(12)ベアトリス・ローズ・エンディコット
父親(9)と対立し、ホテルツアーを企画した「ニューヨーク市保存協会」の主宰者。(9)の七番目の娘。お嬢様だが、市議会を納得させてしまうほどの行動力と頭脳を持つ女性。我々ゲストを恐怖のエレベーターに乗せてしまう張本人。

(13)マンフレッド・ストラング
ハイタワー三世の悪事を暴こうとする、ニューヨークグローブ通信の新聞記者。内部の蓄音機から流れる記者会見の様子の中で、ハイタワーに「呪いの偶像だと言われてますよね?」と、言う人物。

(14)アーチー
(11)にニューヨーク保存協会の設立を助言するホームレス風の紳士。(12)に保存協会の設立を助言。

(15)ロバート・ネイピア
(1)が過去所属していたイギリス軍指揮官。特にストーリーとは関係ない位置づけ。

…と、言う事で、ここまでの話の流れだと登場する人物の数も「13」人なのでは…?と、感じますが、残念ながら「15」人となります。

しかし、面白いのは、実は(1)と(2)と(14)は同一人物なのです。(2)は実は(1)のペンネームであり、偽名でハイタワーの物語を書いていたのです。

更に(14)はハイタワーの失踪後、何とか彼を救い出そうと、(1)が身分を隠して行動する為の、こちらも偽名なのです。

以上のように、一見すると15人で関係ないと思いきや、実は13人だった…と言う、非常に凝った物語である事がわかります。

しかも、これはあえて「13」の数字にするために、ストーリーとは関係ない人物(名前がなくてもいい人物)を登場させているものと思われます。

もともと非常に細かいストーリーがあるこの「タワー・オブ・テラー」ですが、ここまで細かく作られているとは驚きですね。

もちろんこうしたストーリーは全く知らなくても楽しめますが、こんな背景も知っているとさらに深く楽しめますね。

…以上、いかがでしたでしょうか。実はこれ以外にもこの「13」の数字は物語にまだまだたくさん登場しています。

細かなアトラクションの物語も興味深い、この「タワー・オブ・テラー」。ぜひ皆さんもそんな謎を解き明かしてみてくださいね。

ただし、無事にまた帰って来られたら、の話ですが…。

ABOUTこの記事を書いた人

DヲタのWEBライター。TDRハックの他に、 個人ブログ「TDRな生活」や「株式会社ぴあ」の「ディズニー特集 -ウレぴあ総研」で多くのTDRにまつわる記事を執筆。7冊のディズニー関連書籍の著者でもある。近著に「ひとりディズニー50の楽しみ方」 (サンクチュアリ出版 )。…慌てず急がず、ゆっくりゆったりとパークを散策しながらお酒を楽しむのが好きです。

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